「話を聴く」だけで、何が変わるの?
と感じる方も多いと思いますが、傾聴がうまくできるかそうでないかは,
コミュニケーションの心地よさが大きく違ってきます。
自分の気持ちを話せる相手、黙って聴いてくれる相手に心がホッとし、
元気になれた経験は誰しも少なからずあると思います。
話を聴いてくれた相手のように、自分も聴き手になることで、
相手がホッとし、元気になってくれたら、と思いませんか?
職場でのストレスの原因として、多くの人が人間関係によるものをあげています。
パワハラ、セクハラ、いじめなどのニュースは後を絶ちません。
このような事案が職場で起きることを防ぐためにも、
職場でのメンタルヘルス対策の重要性はますます高まっていると言えるでしょう。
仕事や職業生活に関するストレスの原因(平成30年の厚生労働省の統計)によると、
対人関係のストレスの項目が、女性は2位、男性は3位にあがっています。
ストレスが原因で様々な病気にもなることも周知の事実ですが、
そんなに厄介なこのストレスというもの、どんな場所で仕事をしていても、
ストレスを完全に取り除くことはできません。
そして、ストレス原因になっている相手を変えることはできない、
これもまた事実なのです。
ではどうしたらいいのか?という問いも多く存在します。
その答えのひとつとして、「自分を変えよう」とはよく言われるフレーズです。
これはなにも別人になるように個性を大きく変える、
ということを意味しているのではありません。
しかもコミュニケーションの能力は、個人差(男女の差も含む)もあるし、
ましてや人との対話が苦手な人、緊張しやすい人、会話自体が好きではない人、など、
本人が言わない限り感知できない事情があったりもし、
単純にコミュニケーション能力が高い低いで表すことは難しいのです。
「傾聴」をコミュニケーションツールとしてこれから意識して使うことで、
もう昨日の自分とは違う個性が誕生します。
まず、大前提なのは、コミュニケーションは相互のやり取りで成立するもの。
一方的に話すだけでは、コミュニケーションを取っているとは言えません。
自分の言いたいことを伝えるだけで終わるのではなくて、
相手の言いたいこと、考えていることは何か、を聞き出すこと、
相手の話をよく聴くこと、相手をよく観察することで、
良好な関係を築くことができるのです。
これは、職場だけに限っての話ではありません。
私がメンタルヘルスのセミナーでもよくお話しているのは、
夫婦や親子、友人、などのプライベートな場でも全く同じことが有効である、
ということです。
そして、一度自分の顔を想像してみてほしいのです。
職場で会話をしている自分は、笑顔だろうか?
人は、笑顔を向けてくる相手には攻撃しにくいという心理が働きます。
無意識に、苦手な人の前では無表情になっていないでしょうか?
そこで、役に立つのが「傾聴」という技術なのです。
相手の話をひたすら聴く技術です。
柔らかい表情で相槌をうちながら話を聴くという姿勢で接することで、
相手は、自分を受け入れてくれている、という感覚で満たされます。
「受け入れてもらっている」感覚を感じられるのが、傾聴の効果のひとつなのです。
もし、今まで、職場であまりこれらのことを意識してこなかったというあなたは、
今日からコミュニケーションを取るときに笑顔を相手に向ける、
元気がない同僚や部下がいたら、声をかけて相手の話を黙って聴く、
ということで、昨日の自分とは少し違う自分を見つけられるのではないでしょうか?
「自分を変える」というのは、そういう小さな変化を
積み重ねていくことで実現していくものなのではないでしょうか?
そのことによって得られる結果は、
自分が思っているよりも大きいのかもしれませんよ。
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